(舞鶴→小樽)
図書館から借りてきたその本は、まだ図書カード形式だった頃のカードと封筒がその時代のまま背表紙に貼り付けられています。
フェリーのベッドの上で、染みまみれのページをめくりながら今まさに始まった現実の旅と、この不思議な物語の中に私はみるみるうちに引き込まれてしまいました。
……安政年間以前には、日本に羊は存在せず竜や貘と同じ程度にイマジナティブな動物だったようだ……
……十二支の中に入っているにもかかわらず、羊がどんな動物であるかということは、正確には誰にもわからなかった……
というような春樹データとともに、春樹らしい霧につつまれるような展開が待っていました。
羊をめぐる冒険とはこの本の中のことなのか?
それとも私たちのことなのか?
物語が同時にぐるぐる ぐるぐる
渦をまきます