(仁宇布(ニウプ)→松音知(マツネシリ)→音威子府(オトイネップ))
最後の目的地での朝がきました。
朝食を済ませトントを出発し、羊舎を見学させていただく。
原毛を選び、こちらでは手で乳しぼりをしているとのことで見せていただくことに。
始めのうちは、血が混じってしまい苦戦されている様子。なかなか大変な作業です。
ただただズラリと並んだ羊のお尻とオッパイは圧巻でした。
そしてここで羊は見納め。
もうよっぽどな確率で出くわさない限り、帰るまで羊牧場はありません。
とても寂しい気持ちでシャッターを切りまくりました。
そして昨夜紹介いただいた作家さん、田中さんのお家へ。
田中さんのお家の住所は松音知(マツネシリ)という地名までで番地がありません。
目印も無いということなので、途中の道の駅まで迎えに来ていただくことに。
この道の駅も“ピンネシリ”といって楽しい響き。
付近の山についている名前がそのまま地名にもなっているようです。
田中さんの家へ到着するまでは、お伽の国へ連れて行かれるような気さえしました。
本当に何も無いのです。
何も無い大地の中ぽつんと絵本のようにあったお家に招き入れていただき、暖かい陽光の中私たちは軽い昼食を取らせていただきました。
お家の庭では番犬が昼寝、チャボが散歩中でした。
リビングにはカラフルなパッチワークのタペストリーがかかっていて、数台の紡ぎ車、織機などの部屋に別れています。
まるで北欧の村に迷いこんで一軒のお家に助けられ…みたいなお話の中のような錯覚を起こしてしまいます。
外観の色からプリン小屋と田中さんは呼んでおられました。(まさに絵本の題名だ!)
田中さんは靴下を主に編んでおられるようで、優しい手染めならではの配色の作品を見せていただきました。
原毛は、夏間に近くの小川で洗ったりするそうです。
自家菜園をされたりと、田中さんの暮らしは私にとってため息が出る程でした。
本当に憧れちゃいます。。
冬間は、想像を絶する程の厳しさなのでしょう。(-30℃だとか!)
経験しない限り、晴れの国育ちの私にはイメージが湧いてこないのですが、それでもやっぱり憧れの生活を田中さんはされていました。
田中さんの家からさらにその先はもうすでに北海道の先端(宗谷岬、稚内港のある所)だということに気づいた私たちは大興奮。
旅の始めは横断に挑戦し、次にはこんな先っちょに近い所までどんどこやってきたのです。
田中さんにお礼を言ってお別れし、お薦めの”チーズ工房羊飼い“さんに寄って、宿に向かうことにしました。
===ちょっと遠飛行しすぎた私たちは、途中道に迷い、北キツネにつままれたようになりました。
スマートフォンのGPSも狂って山の中焦ったけどなんとか軌道修正===
そしてそして、チーズ工房羊飼いさんにて再び羊に出会う!!
松山農場さんからやってきた兄弟たちのようです。
まさか午前中に見納めたと思っていた羊たちに再会できるとは!?
嬉しい気持ちで一杯に。
さっそく羊乳チーズをお土産にさせていただきました。
夕方には本日の宿、音威子府(オトイネップ)の天塩川温泉へ。
温泉と夕食後まったりな時間。
部屋のテレビで、矢野さんが撮りためてきた写真たちをスライドショーしてくださいました。
ごろ寝で、時々歓声をあげながら見入る。
矢野さんの瞬間の切り取りようにはハッとさせられたり、ため息がもれたり、全てが矢野さんの温もりのある詩編のような世界。
私が見つけられなかった所をたくさん発見されていて、また私と同じモノを見られていたとしても、一枚一枚新鮮で瑞々しいショットに酔しれ、もう一度旅を味わう一時となりました。
さぁて、明日は、23:30発のフェリーに乗れれば何をしても自由。。
何しましょうか?
そんな相談をするよりもこの6日間でお腹いっぱいの3人なのでした。
本当に羊、羊、羊づくしの日々。
お腹も心も羊無しでは生きていけなくなってきた矢先、とうとう帰らなくては。。